小説『元彼の遺言状』のあらすじ・登場人物・相関図紹介を紹介

あなたはどんな物語と出会いたいですか?
物語に触れて、どんな気持ちになりたいですか?
「小さなことでくよくよしてしまう自分がイヤだ」「元気がほしい」という方におすすめなのが、『元彼の遺言状』(新川帆立)という小説です。
こちらの物語は、主人公の元彼が残した「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言を受け、麗子が依頼人と共謀して一獲千金を狙う破格の遺産相続ミステリー。
ミステリー小説ですが、破天荒で楽天的な主人公に元気をもらえます。読み終わったあとの爽快感はたまりません。明るい気持ちにさせてくれる素敵な物語です。
何かに悩んでいる人や滅入っていて元気がほしい人はぜひ、読んでみてください。
『元彼の遺言状』の作品情報

『元彼の遺言状』は奇妙な遺言状をめぐる、お金に正直な敏腕弁護士が活躍するミステリー作品です。
著者は新川帆立(しんかわ ほたて)さん。本作がデビュー作で、デビュー作にして「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。ミステリー界に新風を巻き起こしている話題の小説です。
2021年10月に続編『倒産続きの彼女』が刊行され、デビューして一年足らずでシリーズ累計50万部を突破したいう人気っぷり。
さらに『元彼の遺言状』シリーズの第三弾として、『剣持麗子のワンナイト推理』が2022年4月8日(金)に発売します。
そんな人気作家・新川帆立さんは、厳しい作家業を生き抜くために弁護士の資格を取ったという異色の経歴が注目されています。
小説家・新川帆立の異色の経歴紹介
新川さんが作家を志したきっかけは16歳の頃、夏目漱石の『吾輩は猫である』に感銘を受けたことだそうです。
小説家の夢を持ちながらも、東京大学法学部に進学し、卒業しています。そして東京法科大学院を修了し、24歳で弁護士に。
小説家になっても収入が安定しない。そこで、小説家なるためには「粘り強く長期戦に対応できる食い扶持が必要」と考え、経済力をつけるために弁護士になったそうです。
弁護士資格を取ることで、もしダメでも弁護士に戻れるという保険を作くることで、不安を払拭。
新川帆立さんにとって弁護士になったのは、あくまで小説家としての自分を確立するための手段だったのです。
また、大学時代は麻雀に青春を捧げたという新川さん。
その腕前は非常に高く、司法試験に合格したあと、司法修習生のときに麻雀のプロテストに合格するほど。ちなみにプロ雀士としての活動は司法修習生時代の一年間だけ。
そして2021年1月より弁護士を休職し、作家業に専念しています。
『元彼の遺言状』のあらすじ
僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る──。
奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。
学生時代、彼と三ヶ月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家主催の「犯人選考会」に参加することに。
数百億円ともいわれる遺産の分け前を獲得すべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。
他方で、彼女は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。
ところが、軽井沢を訪れて手続きを行ったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう……。
『元彼の遺言状』の登場人物と相関図

遺産相続ミステリーものは登場人物は多いことがままあります。
本作も登場人物が多く、読んでいるとたまに「この人ってどんな人だったかな?」とわからなくことも。
なのでここでは、主要な登場人物をご紹介します。
『元彼の遺言状』の主な登場人物
剣持麗子(けんもち れいこ)
本作の主人公で、大手の山田川村・津々井法律事務所所属する敏腕弁護士。
お金に対して貪欲で破天荒な28歳である。栄治とは大学生のときに三ヶ月だけ交際していた。
栄治の友人・篠田の代理人として、森川家主催の「犯人選考会」に参加。
篠田敬太郎(しのだ けいたろう)
麗子の大学時代のゼミの先輩で、今回の事件の依頼人。
栄治とも交流が深く、栄治の30歳の誕生日パーティーに招待され、栄治が亡くなる前に会っている。
父が小さな貿易会社を経営しており、森川家とは家族ぐるみの付き合いが。
森川栄治(もりかわ えいじ)
麗子の大学の先輩で、森川製薬の御曹司。
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に贈る」という奇妙な遺言を残して30歳で死亡。容姿は父・金治とは似ても似つかないイケメンである。
生前、重度のうつ病を発症していた。
森川金治(もりかわ かねはる)
亡き栄治の父親で森川製薬の社長。
小ぶりのブルドッグのような容姿で、栄治とは全く似ていない。
森川富治(もりかわ とみはる)
栄治の兄。
大学で文化人類学を教えている。栄治とそっくりの美声の持ち主。
森川銀治(もりかわ ぎんじ)
栄治の叔父で、金治の弟。
家政婦・美代と結婚の約束をしていたが、美代は森川家から追い出されてしまう。銀治も森川家には愛想を尽かして家を出ている。
森川紗英(もりかわ さえ)
亡き栄治の従姉妹(いとこ)で、拓未の妹。
幼少期からずっと栄治に思いを寄せていた。
森川拓未(もりかわ たくみ)
亡き栄治の従兄弟(いとこ)で、紗英の兄。
森川製薬新規事業課の課長。新薬の開発プロジェクトを進めていた。
森川雪乃(もりかわ ゆきの)
亡き栄治の元カノで、拓未の妻。
栄治が病気になったあと、栄治の従兄弟である拓未と付き合い、のちに結婚している。
堂上圭(どうじょう けい)
獣医師で亡き栄治の愛犬・バッカスの主治医。
栄治からバッカスを引き取り、世話をしている。栄治の別荘の敷地内にある離れで5歳の息子・亮と二人暮らし。
父の代から森川家の専属獣医師だったため、幼少期から栄治とは親しい仲だった。
原口朝陽(はらぐち あさひ)
看護師で亡き栄治の元カノ。
生前、病弱な栄治の身の回りを世話しており、親密な時間を過ごすうちに栄治と恋人関係になった。
村山権太(むらやま げんた)
栄治から奇妙な遺言状を託され、醜い相続争いの渦中で奮闘する顧問弁護士。
長野県の「暮らしの法律事務所」に所属する。
『元彼の遺言状』の相関図
『元彼の遺言状』は大企業の御曹司の遺産相続ミステリーなので、親族や周辺人物がかなり多いです。
読んでいる途中で登場人物の関係性がわからなくなった際の参考にしてください。

『元彼の遺言状』の読みどころ

自信家で強気な麗子が成長していく姿
恋人からもらった婚約指輪の安さに難癖をつけまくるヒロインに度肝を抜かれます。
そんな強烈な個性を持った主人公・剣持麗子。物語が進むにつれて、これは麗子の成長物語でもあることがわかります。
少しずつ麗子の気持ちに変化があらわれ、普段ならとらない行動さえするように。
そんな姿を見ていると、どんどん彼女を好きになっていくでしょう。
物語が進んでいくと、麗子が弁護士を目指した理由などの背景が明らかになり、恋人に「お金がないなら、内臓でも何でも売って、お金を作ってちょうだい」という彼女だけど、実は人間愛のある優しい人間だと気付かされます。
お金がすべてだと言い切ってきた敏腕弁護士の麗子が初めてお金じゃないもののために闘う姿には感動します。彼女の不屈の精神がさらに成長を遂げるラストは、実に頼もしいです。
ぜひその点に注目して読んでみてください。
終盤に待ち受ける伏線回収の乱打
クライマックスに待ち受ける爽快感のある伏線回収は本作の最大の読みどころでしょう。
秀逸に張り巡らされた伏線がスルスルと紐解かれていきます。驚きの連続で圧倒されること間違いなし。麗子が謎をどんどん解き明かしていく姿はとにかく格好いいです。
そして、すべての伏線が見事に回収された瞬間の爽快感はたまりません。
ぜひあなたも、この感覚を味わってみてください。
『元彼の遺言状』を読んだ感想・レビュー

冒頭から剣持麗子の勢いに圧倒されてしまいました。
恋人からの婚約指輪が世間並みのものだったことに腹を立てる彼女が、「あなたの私への愛情は、世間の平均程度ってこと?」「お金がないなら、内臓でも何でも売って、お金を作ってちょうだい」と啖呵を切るのだから。
とにかくお金が大好きで、お金以上に大切なものはないと信じている麗子に、最初はまったく好感が持てませんでした。
「うわっ、こういう女性は苦手……」と思ったのが正直なところ。おそらく僕と同じように引いてしまう読者もいるのではないでしょうか。
ですが、なぜか、彼女を嫌いになれない自分がいました。
彼女の真っすぐさが心地よかったのでしょう。揺るがない芯がしっかりある感じに、どこか惹かれていたのです。あんなにストレートに言える麗子は素直に格好いいと思います。
そもそも頭の切れる敏腕弁護士というだけで格好いい。
そして、物語が進んでいくうちにどんどん彼女の魅力に気づきはじめ、いつしか麗子さんのことが好きになっていました。
実はめちゃくちゃ芯が熱く、本来の彼女は優しさを持っているのですから、惹かれないわけがありません。
麗子さんがはじめてお金じゃないもののために闘う姿にほれぼれします。
楽天的な麗子さんを見ていると、悩み事もどうでもよくなります。明るい気持ちにさせてくれて、読んでいると元気になります。
そんな一癖も二癖もありながらとても魅力的な主人公によって、序盤からぐんぐんと引っ張られます。ものすごい牽引力で、ページをめくる手が止まりませんでした。
きっと多くの読者のは一気読みしてしまうでしょう。
剣持麗子とは違い、読みやすい文体でテンポもよく、スルスルと読めてしまいます。おかげでぐいぐい引き込まれます。
強烈にキャラの立つヒロインに加え、緻密に計算された構成にも目を引かれます。
まるでジェットコースターのような、スピード感あふれるストーリー展開は目が離せません。物語の緩急のバランスも絶妙です。
そして終盤、美しく張り巡らされた伏線がきれいに回収されていく爽快感はたまりません。
パズルのピースが迷いなくはめ込まれていくような圧倒的な快感です。想像のつかないその真実には本当に驚かされました。
主人公と一緒に謎を紐解いていく感じも非常に面白く、終始楽しく読むことができてよかったです。
読後、また麗子さんに会いたくて、続編を期待せずにはいられませんでした。なので続編が出ることを知ったときはものすごく嬉しかったです。
綾瀬はるか主演で実写ドラマ化
今回ご紹介した『元彼の遺言状』は、2022年4月からはじまる春ドラマとして放送がスタート。
主人公・剣持麗子を演じるのは綾瀬はるかさん。最初はミスマッチな感じがしましたが、ドラマ放送に向けて再読すると、思っていた以上にベストな配役だということに気づきました。
原作者の新川帆立さんは映像化に当たって「綾瀬さんは主人公のイメージにぴったりです。どのような演技を見せてくれるか楽しみにしています」とコメントしています。
綾瀬さん演じる剣持麗子の魅力あふれるキャラクター像には注目です。
原作の世界観はそのままに、ドラマオリジナルのエピソードも描いていくそう。原作とはまた違った物語が楽しめるの嬉しいですね。
また、ドラマにはシリーズ第三段となる『剣持麗子のワンナイト推理』収録のエピソードも一部登場するそうです。
『元彼の遺言状』の実写ドラマを観るならFODプレミアム

フジテレビが運営する動画配信サービス『FODプレミアム』。
『元彼の遺言状』は月9ドラマです。フジテレビの作品なので、FODプレミアムでも配信されています。
人によってはリアルタイムで観れない方もいるでしょう。そんな方はFODプレミアムで視聴するのがおすすめです。
FODプレミアムならCMが入らないので、快適に楽しむことができます。
また、月額976円(税込)と比較的お手頃な料金。
過去の月9などのフジテレビドラマを楽しんだり、さまざまな会員特典でクーポン&ポイントがもらえ、それを利用して新作映画を楽しむこともできます。
『元彼の遺言状』まとめ
どんな難事件だろうが剣持麗子は決して諦めず、勇猛果敢に己の信じた道を突き進む。そんな麗子の正直で痛快な生き方は、不安感が漂うこの世の中に元気と勇気を与えるでしょう。
勇気づけられられたいという方にはおすすめの小説です。
「なかなか前に踏み出せない」「小さなことでもくよくよ悩んでしまう」そんな方たちが読めば、一歩踏み出す勇気がもらえたり、小さな悩みも吹き飛ぶでしょう。