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映画『護られなかった者たちへ』の作品紹介・感想・評価【ネタバレレビュー】

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あなたはどんな物語と出会いたいですか?
物語に触れて、あなたはどんな気持ちになりたいですか?

もし、世の中の不条理に苦しんでいたり、絶望の淵に追い詰められ、希望を見出したいのなら、『護られなかった者たちへ』という映画がおすすめ。

『護られなかった者たちへ』は、2021年10月1日に公開されたヒューマン・ミステリー映画です。社会の理不尽さや不条理、人間社会のままならなさを痛感させられる物語ですが、見終えたとき、月夜の光が差し込むような希望が見出せると思います。

この記事では、佐藤健さん主演の映画『護られなかった者たちへ』のあらすじや見どころ、感想をご紹介します。

映画『護られなかった者たちへ』の作品紹介

出典:©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会

凄惨な連続殺人事件の裏に隠された切なすぎる真実を描いた『護られなかった者たちへ』の作品概要やキャスト、あらすじを紹介します。

映画『護られなかった者たちへ』の作品概要

本作は“どんでん返しの帝王”と称されている作家・中山七里さんの同名小説を実写映画化したヒューマン・ミステリーです。

中山七里さんの作品はとても人気があり『護られなかった者たちへ』以外にも、『さよならドビュッシー』をはじめ、『ドクター・デスの遺産』や『作家刑事毒島』など、数々の作品が映画化・ドラマ化されてきました。

本作の監督は『64 ロクヨン』や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』、『糸』などの人気作を次々と世に送り出してきた瀬々敬久さんです。重厚な群像劇に定評がある監督さんで、『護られなかった者たちへ』にもばっちり合った映像でした。

脚本は瀬々監督と『白ゆき姫殺人事件』や『予告犯』、『太陽は動かない』などを手掛けた脚本家・林民夫さんのコラボレーション。原作とはまた違った角度から東日本大震災や福祉問題を描いていて、原作を読んだ方でも楽しめます。


映画『護られなかった者たちへ』の登場人物・キャスト

出典:©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会

主演は、映画『るろうに剣心』シリーズで主演を務めた佐藤健さんです。そして殺人事件の容疑者・利根(佐藤健)を追う刑事・笘篠を阿部寛さんが演じています。そのほかのキャストも実力派揃いです。

第一被害者の三雲を演じるのは、『ミックス。』や『64 ロクヨン』、『友罪』などいろんな作品で幅広い演技をされている永山瑛太さん。

その三雲の部下で、保健福祉センターのケースワーカーとして働く円山幹子を演じたのは、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』でヒロインを務めた清原果耶さん。

第二被害者で、杜浦市福祉保健事務所の元所長・城之内を演じるのは、『万引き家族』や『Fukushima 50』、『聖地X』などに出演していた緒形直人さん。

さらに、笘篠の後輩刑事・蓮田を林遣都さんが、杜浦市福祉保健事務所に勤務していた若手政治家・上崎を吉岡秀隆さんが演じています。

そして、震災直後の避難所で利根と出会った遠島けいを演じた倍賞美津子さん。と、日本映画界の実力派俳優が集結した映画です。

映画『護られなかった者たちへ』のあらすじ

東日本大震災から10年目の仙台で、全身を縛られたまま放置されて餓死させられるという凄惨な連続殺人事件が起きる。

現場の状況から物盗りの可能性は低く、怨恨が理由だと思われるが、被害者はいずれも誰もが慕う人格者で悪い噂が全く出てこない。

しかし、宮城県警捜査一課の笘篠は事件のある共通項を見つけ出す。捜査線上に浮かび上がったのは、過去に起こした事件で服役し、出所したばかりの利根という男。

笘篠は利根を追い詰めていくが、決定的な確証がつかめないまま、第三の事件が起きようとしていた。

さまざまな想いが交差する中、やがて事件の裏に隠された切なくも衝撃の真実が明らかになっていく。なぜ、こんな無残な事件が起きてしまったのだろうか──。

映画『護られなかった者たちへ』の見どころ

出典:©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会

映画『護られなかった者たちへ』の見どころ①「日本映画界最高峰のキャスト陣」

連続殺人事件の容疑者として追われる利根を演じた佐藤健さんや彼を追う笘篠役の阿部寛さんをはじめ、清原果耶さん、倍賞美津子さん、林遣都さん、吉岡秀隆さん、永山瑛太さん、緒形直人さんといった日本映画界最高峰の実力派キャストが集結。

映画公開後、SNSでは感動の声とともに、「演技が凄すぎる!」「みんなの演技力に圧倒された!」といったキャスト陣の演技力を評価する声も多く話題になりました。

とくに円山幹子を演じた清原果耶さんに驚かされました。

映画『護られなかった者たちへ』の見どころ②「清原果耶の演技力」

この映画の何がすごかったかと聞かれれば、真っ先に清原果耶さんの演技だと答えます。

清原果耶さんは『まともじゃないのは君も一緒』や『砕け散るところを見せてあげる』、『夏への扉‐キミのいる未来へ‐』など多くの話題作に出演し、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』でも主演を務めるなど目覚ましい活躍を見せている、いま最も注目の女優さん。

2019年放送のNHK連続テレビ小説『なつぞら』では、10代から30代までを見事に演じており、それが高く評価されて今回のキャスティングが決定したそうです。本作でも、19歳ながら実年齢より上の円山幹子役を見事に演じきっていました。

印象的だったのは表情や目で語る演技。円山幹子という女性の内面を訴える演技は目を見張ります。

被災地で信念と現実の間で葛藤する難しい役どころにかかわらず、その堂々たる演技に主演の佐藤健も「10代というのが信じられない」と驚かれるほど。さらにほかの共演者からも絶賛の声があり、ぜひとも清原さんの演技に注目して観てほしいです。

映画『護られなかった者たちへ』の見どころ③「原作から改変されたストーリー展開」

原作では犯人の動機に重きを置き、被害者を“殺されてしかるべき悪人”という描き方でしたが、本作ではその被害者の物語をより厚く描き、社会制度そのものの矛盾にフォーカスしています。

震災の爪痕や人々の絆、社会制度に対する問題提起をより濃くした感じで、ミステリーでありながらもヒューマン・ドラマと呼ぶほうがしっくりくる作品です。原作はミステリー要素が強く、実写映画のほうはヒューマン・ドラマ要素が強いという感じ。

映画では、利根と笘篠は震災の際、同じ避難所にいたという設定になっていたり、原作にはないラストシーンが追加されていたりします。描き方は違いますが、どちらも切実なメッセージが込められている物語です。

原作とはまた違った味わいができる見応えある映画だと思います。原作を読んだ人もきっと楽しめるはずです。もちろん逆も然り。

個人的には原作を読んでから映画を観るという順番のほうがいいと思います。やはり中山七里さんのどんでん返しミステリーを堪能し、そのあと映画でより深く物語に入り込むほうが、『護られなかった者たちへ』という物語を楽しめると思うんです。

映画『護られなかった者たちへ』の感想・評価

出典:©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会

ここから感想をお伝えします。感じたことや思ったことをありのままお話するので、ネタバレも含みます。しかし、ネタバレを知ったとしても面白さが半減することもないでしょう。もし、まっさらな状態で観たい方は鑑賞後にお読みください。

なぜ円山(カンちゃん)を女性として描いたのか?

カンちゃんこと円山は物語の重要なキーパーソン。原作では男の子だった。なぜ女性にしたのだろうか、そんな疑問が浮かぶ。どんな意図があるのだろうか、と思いながら鑑賞していた。

実はこの変更はプロット(筋書き)の段階で決まっていたらしい。東日本大震災と福祉制度というテーマを描くにあたり、遠島けい以外にもう一人女性がいたほうがよりテーマを際立たせることができるのは、と制作陣は考えたみたいです。

いまだに女性は社会的弱者となってしまっているのが現状。2021年のジェンダー・ギャップ指数のランキングでは、156ヶ国中120位という順位だった。現代社会でも依然として男女の格差があり、声を上げることすらできない人たちがいるだろう。そんな社会に切り込むため、カンちゃんを女性として描くことにしたのではないだろうか。

カンちゃんを清原果耶さんが演じたことで、物語がより一層切ないものになった気がする。なにより清原さんの抜群の演技力で、円山幹子という人間の意志の強さや凛々しさがうまく表現されていてよかった。

タイトルに込められた想い

見終わったとき、タイトルの重さを感じずにはいられない。全身にずっしりとのしかかっていくるようだ。さまざまな含みを持ったタイトルなだけに、見ただけでなんだ悲しく、切なさが込み上げてくる。

円山がSNSで世に放った「護られなかった者たちへ」という文章は、この社会への痛烈なメッセージを感じた。護られなくていい人なんていないはずなのに……。なぜ、けいさんは護られなかったのだろうか。そう考えずにはいられない。

主題歌『月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)』が心に沁みる

この物語は、温かいようで、どうしようもなく冷たい。人の温かさや優しさを感じられて、世の中捨てたもんじゃないなと思わせてくれる。

しかしそれと同時に、酷く不条理で理不尽なことばかりだと思い知らされる。不条理な現実に心をえぐられる思いで、とにかく苦しかった。痛かった。

だけどラストで、月夜の光明が差し込み、エンドロールで桑田佳祐さんの『月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)』が流れる。感動の余韻をより一層深いものにし、心にじんわりと沁みていく。えぐられた傷跡を癒やすように。

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まとめ

今回は、東日本大震災から9年後に起った連続殺人事件から見えてくる、日本の生活保護制度の欠陥に迫る社会派ヒューマン・ミステリー『護られなかった者たちへ』を紹介しました。

本作を見終わったとき、一筋の希望が見えてくるのではないでしょうか。心をえぐらる話ですが、最後にはその傷を癒やしてくれます。きっと救いの物語となるはずです。