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映画『水曜日が消えた』のあらすじ・感想・評価を徹底紹介【ネタバレなし】

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Uuusuke
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人は誰しも、二面性や多面性といった性質を持つ生き物だと思うのです。

よく知っているはずの人間のいままで知らなかった一面に接したとき、別人のように感じたことはないだろうか。あるいは、周囲の人からもたれているイメージと“自分が思う自分”にずれを感じたことはないだろうか。

仕事をしているときの自分、家にいるときの自分、友人と遊んでいるときの自分──きっとどれも違った一面を見せているはず。

もちろんいつも変わらず、常にありのままの自分をさらけ出せる人もいるでしょう。

しかし多くの人間は、いろんな自分を内包しているもの。

今回ご紹介する物語は、ある出来事をきっかけに解離性同一性障害(いわゆる多重人格)になってしまった主人公の人間ドラマを描いた『水曜日が消えた』という映画です。

「解離性同一性障害」という言葉に馴染みのない方も多いでしょう。でも一見縁遠いお話でも、実は身近なテーマだということもあります。

もしかしたら、あなたの悩みを吹き飛ばすきっかけになる映画かもしれません。

この記事のポイント
  • 映画『水曜日が消えた』は、“7人の僕”のうち最も地味でつまらない”火曜日”の視点を通して描かれた物語。
  • 映画『水曜日が消えた』の監督を務めたのは、『君の名は。』でCGクリエイターとして参加し、大人気小説原作の映画『ハケンアニメ!』でメガホンを取った吉野耕平監督。
  • 主演の中村倫也さん、ダブルヒロインの石橋菜津美さんと深川麻衣さん、それからきたろうさん、中島歩さん、休日課長といった多彩なキャスト陣が出演。
  • 賛否両論ある作品だが、個人的には深く考えさせられるお話で、何度観ても新しい発見があるから面白い。
  • 哲学的な作品や文学的作品が好きな人ならきっと楽しめる映画。

『水曜日が消えた』の作品概要

『水曜日が消えた』の作品説明画像

2020年6月19日に公開された映画『水曜日が消えた』。

本作は、一人の人間の内側で、曜日ごとに入れ替わって暮らしている“7人の僕”が主人公。そのうちの最も地味でつまらない、“火曜日”の視点を通して描かれていく世界の物語。

吉野耕平監督の初長編デビュー作品

メガホンを取ったのは、MVやCM、短編作などで注目を集める吉野耕平監督。次世代を担う気鋭の映像クリエイターを選出するプロジェクト「映像作家100人 2019」に選ばれた新進気鋭のクリエイターさんです。

新海誠監督のアニメーション映画『君の名は。』ではCGクリエイターとして参加し、最近では、直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月さんの大人気小説を映画化した『ハケンアニメ!』の監督を務めています。

そんな吉野監督が自ら脚本を執筆した初長編映画が本作。”原作もの”映画が多い中、オリジナル脚本で挑戦した作品です。

吉野監督はCMプランナー・コピーライターとして活動後、2011年にディレクターとして独立。その後、実写やアニメ、MVなどを幅広く手掛け、さまざまな作品の制作・演出に携わってきました。

映画『水曜日が消えた』の主題歌『Alba』(須田景凪)

吉野耕平監督はFlumpoolや関ジャニ∞、moumoonなどのミュージックビデオを担当してきたクリエイターさんです。本作の主題歌である『Alba』(須田景凪)のMVも手掛けています。

『Alba』は、『水曜日が消えた』の主題歌として書き下ろした楽曲で、映画本編のストーリーともリンクした〈7人の僕〉の生活を想起させる世界が全編CGで表現されたMVです。

MVでは歌の雰囲気と歌詞の世界観、そして映画のストーリーが絶妙に混ざり合い、映画の中に出てくる風景やアイテムが加わることで、より結びつきが強くなっています。

本作を鑑賞したあと、MVを見ると、何か発見があったりするかもしれません。ぜひ、須田景凪さんの『Alba』も一緒に楽しんでみてください。

映画『水曜日が消えた』ノベライズ本もあります!

映画『水曜日が消えた』はノベライズ本も発売されています。映画では描ききれなかった世界をさらに深堀りした内容になっているそうです。

著者の本田壱成さんは「作品の裏にある設定や初期構想を伺い、魅力的なシチュエーションと中村倫也さんの熱演が光る映像の向こうに、更に深く、豊かな世界が広がっていることを感じました」と語っています。

小説オリジナルの描写をぜひ映画と一緒に楽しんでみてください。『水曜日が消えた』という物語をより楽しめるはずです。

映画『水曜日が消えた』のあらすじ(ネタバレなし)

幼い頃のある出来事をきっかけに、一つの身体の中で曜日ごとに入れ替わる”7人の僕”。性格も個性もまったく異なる”僕たち”は、不便ではあるが平穏に暮らしていた。

その中でも”火曜日の僕”は、いちばん地味で退屈な存在でいつも損な役回り。

家の掃除、荷物の受け取り、通院などほかの曜日に何かと押し付けられる日々。趣味の読書も、図書館は休館日で思うように楽しめないでいた。

今日も“火曜日”はいつも通り単調な一日を終えると、また一週間後に備えて、ベッドに入る。

いつも通りの日常がやってくるはずだったが──それは突然やってきた。”火曜日の僕”が朝目を覚ますと、周囲の様子がいつもと違うことに違和感を覚える。

見慣れないTV番組、初めて聞く緑道の音楽……そう、“水曜日の僕”が消えたのだ。

いつもと違う曜日に“火曜日”は一瞬戸惑うも、いつも休館で行けなかった図書館にも行くことができ、浮足立つ。新鮮さと戸惑いを感じながらも、初めての水曜日を満喫していくのだが……。

その日常は徐々に驚きと恐怖に変わっていく。

“僕”の日常はどうなってしまうのだろうか──。

映画『水曜日が消えた』の登場人物(キャスト)

映画『水曜日が消えた』の主演を演じるのは、その多彩な才能で活躍の場を広げている中村倫也さん。当ブログで紹介した『人数の町』でも主演を務めています。

そしてダブルヒロインを務めるのが、石橋菜津美さんと元乃木坂46の深川麻衣さんです。

そのほか脇を固めるキャストは、きたろうさん、中島歩さん、「ゲスの極み乙女。」の休日課長さんといった多彩な顔ぶれが揃っています。

斎藤数馬(さいとう かずま/演:中村倫也)

ある出来事をきっかけに、曜日ごとに入れ替わる7つの人格を生きる青年・斎藤数馬。

そんな主人公を演じるのは、2018年に放送されたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」でブレイクし、そこからぐんぐんと活躍の幅を広げている中村倫也さんです。

その唯一無二な魅力を十二分に発揮し、性格もライフスタイルもまったく異なる“7人の僕”を卓越した表現力で見事に演じていました。中村倫也さんが好きな方にはすごく見応えのある映画です。

7人の人格は朝目覚めると入れ替わり、曜日ごとに異なる人格が現れて生活をしています。それぞれの人格は考え方も性格もバラバラで、お互い直接会うことはもちろんできません。

そんな”7人の僕”は日記を通じて、お互いのことを間接的に知っている程度。しかし仲が悪いというわけではなく、お互いを名前で呼び合いながら平穏な毎日を過ごしています。

一ノ瀬(いちのせ/演:石橋菜津美)

“7人の僕”を全員知る元同級生の一ノ瀬。主人公の中にいる7人の人格をすべて知る数少ない存在です。

彼女は”僕”の事情を知った上で、7人の”僕”と友人関係を保ってくれており、頻繁に家にも訪れ、“7人の僕”全員と交流があります。

そんな一ノ瀬を演じたのは、Netflixにて放送されるや否や話題を呼んでいるドラマ『夫のちんぽが入らない』をはじめ、数々のドラマやCMに出演し、頭角を現してきた石橋菜津美さんです。

ドラマ『夫のちんぽが入らない』

主婦で作家のこだまさんの衝撃の実話『夫のちんぽが入らない』。「普通」という呪いに苦しみ続けた女性の、いじらしいほど正直な愛と性の物語である。

Netflixで配信中(2023年1月時点)。

最近では、現代の東京に生きる29歳独身女性4人の恋、結婚、仕事、性、友情などを描いたABEMAオリジナルドラマ『30までにとうるさくて』にて、フリーのクリエイターで同性のパートナーと愛を育む佐倉詩を演じています。

瑞野(みずの/演:深川麻衣)

物語の鍵を握る図書館司書・瑞野。本作のキーマンとなる彼女を演じたのは、元乃木坂46の深川麻衣さんです。

乃木坂46の1期生として数多くのヒット作と共に活動し、2016年に乃木坂46を卒業後、2017年に舞台『スキップ』で初主演を。2018年には主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』(今泉力哉監督)で、第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞した実力のある役者さんです。

最近では『愛がなんだ』『おもいで写眞』『僕と彼女とラリーと』など、さまざまな作品で活躍しています。

安藤(あんどう/演:きたろう)

“7人の僕”の主治医・安藤先生。7つの人格を持つ主人公を暖かく見守る存在です。いつも“僕”の悩みを聞いたり、アドバイスをしたりと親がいない“僕”の保護者代わりとなっています。

そんな安藤先生を演じるのは、存在感のあるバイプレイヤーとしてさまざまな役をこなす、きたろうさんです。ある秘密を隠す難しい役柄ながらにもかかわらず、安定感のある演技でした。

新木(あらき/演:中島歩)

安藤先生の教え子で、“7人の僕”を見守る研修医師・新木先生。安藤の助手として主人公の治療に関わることになりますが……。

新木を演じるのは『素敵なダイナマイトスキャンダル』『愛がなんだ』『転がるビー玉』などに出演する中島歩さんです。

高橋(たかはし/演:休日課長)

”月曜日の僕”の音楽仲間である高橋。彼を演じるは「ゲスの極み乙女。」でベースを担当する休日課長さんです。少ない出演にも関わらず印象に残ります。

映画『水曜日が消えた』を観た感想・評価

独創的な世界観でぐいぐい引き込まれる映画でした。細かい部分の演出も斬新で面白いです。なにより、中村倫也さんのすごさを実感させられます。

もともと演技力の高さに一目置かれる存在だと思いますが、改めてその卓越した演技力に驚かされました。

主人公の”僕”には7つの人格がありますが、メインで登場するのは”火曜日”です。

それぞれの人格を見られるのはわずかなシーンですが、その短い時間でもしっかり7人の人格を演じ分けているのですから、心を動かされないわけがありません。

短い時間だからこそ、それぞれの個性をとらえ、表現する演技はそう簡単なことではないはずです。

そんな難しい役柄にも関わらず見事に演じた中村倫也さんはやっぱりすごい。カメレオン俳優とはまさに彼のことを言うのでしょう。

結末に向かって隠されていた真実が徐々につながっていく展開は非常に面白く、ラストに待つのは意外な結末でした。

ラストのとらえ方は人それぞれあるかもしれませんが、個人的には気持ちのよい結末だったと思います。

また、映像にもさまざまな仕掛けが施されていたり、VFXを使った演出も面白かったです。監督自ら担当しているので、こだわりが詰まっているのでしょう。

スローモーションやVFXなどの映像表現に注目して観てみるのも面白いかもしれません。

人によってはエンドロールは見ないという方もいるでしょう。ぼくも昔はあまり観ませんでした。でもこの映画はぜひ最後まで観てください。

最後まで楽しませてくれる演出が待っています。

映画『水曜日が消えた』は遊び心が詰まった作品で、個人的にはものすごく楽しる映画でした。鑑賞してよかったと心から思います。

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映画『水曜日が消えた』の口コミ・評判

映画『水曜日が消えた』は面白いのか?
観た方たちの口コミや評判を見ていきましょう。

映画『水曜日が消えた』の良い口コミ・評判

プリセット4
プリセット4

1人7役をすべて上手く演じきっていて、中村倫也のすごさを感じた。7人それぞれの個性あふれるキャッチーさや、淡い色彩、音楽が作品に彩りを添えていて良かったと思う。

プリセット4
プリセット4

構えずにゆったり観ることができる作品。それでいてとても味わい深い。エンドロールまで見終わった後、”彼ら”への愛おしさが募り、またすぐにでも観たくなる映画だった。

プリセット1
プリセット1

エンドロールが可愛らしく最後の最後まで楽しめた。もっと7人の生活を知りたくなった。

プリセット4
プリセット4

地味で派手な展開はないし、単調ではあったがなかなかほっこりして面白かった。大きな伏線回収みたいな気持ち良さはないけど、ストーリーは面白いので最後まで楽しく観れる。

プリセット1
プリセット1

それぞれの人格に大切なことも大切な人もそれぞれあって、終盤はなんとも奥深い作品だな、と。また象徴的なシーンや哲学的な要素があり、鑑賞後、ぼんやり考える時間が楽しかった。

エンドロールの演出が遊び心があってよかったという口コミが多くありました。これは僕も同じ意見です。遊び心があって最後まで観客を楽しませてくれる点はよかったです。

後味はすっきりした感じでよかったという口コミもありました。

鑑賞後はじんわりとした穏やかな余韻があり、「あれは……」と、ぼんやり考えに耽りたくなる方も多いのでしょう。

哲学的要素もあるので、たしかに考えさせられる作品かもしれません。

また、劇中で流れる曲や主題歌『Alba』がとても印象に残るという口コミもあり、全体的に演出面の評価が高い印象でした。

設定の面白さやキャスト陣の演技力を評価する口コミもたくさんあります。実力のある俳優さんが揃っているので納得です。元乃木坂46の深川麻衣さんも見事な演技を魅せてくれます。

映画『水曜日が消えた』の悪い口コミ・評判

プリセット5
プリセット5

脚本は盛り上がりに欠ける。もう少し捻りがあると良かった。おそらく、小説みたいな内容が好きな方向けの文学的な作品といえそう。

プリセット6
プリセット6

やはりどうしても似たようなシーンが多く、かつ物語も非常に淡々と静かに進んでいくので、人によっては観ていて退屈しそう。

プリセット2
プリセット2

記憶のフラッシュバックのシーン、意図はわかるんだけど、ちょっと繰り返しが多すぎてくどく感じた。おもしろかったけど、ちょっと物足りなかったかな。

プリセット3
プリセット3

ミステリーだけど、なんというか消化不良なミステリーだったかな。嫌いじゃないし上手くまとめてるんだけど もっとこうしてほしかったな、と物足りない印象が強かった。

なかなか厳しい意見も多いですね。たしかに似たようなシーンが多く、ストーリー展開が淡々としていた印象はあります。盛り上がりに欠けるという感想もわからなくもないです。

でもしょうがないというか、伝えたいことを伝えるためにはどれも必要なシーンだったと思います。

前半はあまり大きな展開がなく、物語は静かな進んでいきます。

ビッグサンダー・マウンテンというより、タワー・オブ・テラーのように徐々に上がっていき、後半で一気に盛り上がりがやってくるといった感じでしょうか。

ジェットコースターが好きな人にとっては少し退屈してしまうかもしれませんね。

あと、ちょっと物足りなさを感じたという口コミもありました。

タイトルやポスターの雰囲気からサスペンスやミステリーの感じが伝わってくるので、期待してしまうのもわかります。

そういう期待を持って鑑賞するとズレが生じて、物足りなさを感じてしまうのかもしれません。

ですが本作は、解離性同一性障害の主人公の人間ドラマを描いた物語。サスペンス的なドキドキ感もありますし、秘密が明らかになっていくミステリー要素もあります。

でも本質としては人間ドラマだと、個人的には思います。

何事も期待しすぎないほうが楽しめたりするものですから、あまり構えずに、ゆったりした気持ちで鑑賞するといいでしょう。

映画『水曜日が消えた』のまとめ

今回は中村倫也さん主演のミステリー映画『水曜日が消えた』をご紹介しました。少しでも気になったり、興味を持った方はぜひ鑑賞してみてください。

本作は、曜日ごとに人格が入れ替わる青年の物語です。日常の歯車が徐々に崩れ落ちていく怖さのあるサスペンス的な要素を含みながら、謎が少しずつ明かされていくミステリー要素があります。

吉野耕平監督の初長編映画ですが、物語を紡ぐことに重きを置いているようで、作品全体のバランスがじつに見事です。『水曜日が消えた』という物語を深く深く突き詰めていったことがうかがえます。

本作を鑑賞したあとは、主題歌のMVを見たり、ノベライズ本を読むことでさらに『水曜日が消えた』を深く楽しむことができるでしょう。

こんな人におすすめの映画
  • 中村倫也さんが好きな人
  • 多面性の強い自分に悩んでいる人
  • 哲学的な作品が好きな人
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ナギサ
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物語愛好家
映画や小説などの物語作品をこよなく愛する物語愛好家。

毎月に3冊ほどの小説を読む、毎週末には2本ほど映画を鑑賞しています。ドラマやアニメも毎クール数作品を視聴。
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